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【洋書レビュー⑨ Flowers For Algernon(アルジャーノンに花束を)】

 
  2018/04/27
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【洋書レビュー⑨ Flowers For Algernon(アルジャーノンに花束を)】

こんばんは、Tak石河です。

今日は、先日久しぶりに読んだ洋書小説で、とても感動した【Flowers For Algernon(アルジャーノンに花束を)】を是非シェアしたいと思います。久々に大真面目に投稿しますが、よかったらお付き合いください^^;


Flowers For Algernon (by DANIEL KEYES)の総評~

お勧め度:

★★★★★(★5つ、文句なしの名著!)

おすすめする読者層:

Lv.3中級者~Lv.5 超上級者

日本語訳本を読んだことのある人は、「洋書原本は読みづらそう」と思われるかもしれませんが、洋書原本は意外と読みやすいです。そして、この本は、敢えて日本語の訳本と、洋書の両方を味わっていただけたら、と思います。

分野:

一般教養、小説

Tak石河レビュー

Daniel Keyes(ダニエル・キイス)による不朽の名作!

「アルジャーノンに花束を」1959年にダニエル・キイスが発表したSF中編で、1966年にその作品を長編化した同題の作品を発表し、ネピュラ賞を受賞しています。本書は映画化され、日本でも「まごころを君に」のタイトルで公開されました。「懐かしい」と思われる方も多いかもしれません。

簡単に、amazonでのあらすじ(日本語訳本)から

チャーリィは陽気な32歳。生まれながらの知的障害者だ。パン屋で働き、夜学に通う。そんな彼に「頭をよくしてあげよう」と科学者から突然の申し出があった。未知の、危険な実験の被験者になるのだ。しかし、チャーリィは喜んで手術のため入院する。同じ実験を、白ネズミのアルジャーノンも受けていた。やがてIQが180にまで高まり、超天才となったチャーリィは、自我が強まり、知識欲も旺盛になり、人々を驚かす。だが、驚くべき天才ネズミとなったアルジャーノンは、急速に知能が後退していく。はたして、チャーリィは?―SFの傑作であると共に、読者を深い感動に包み込む感動の長編小説。

(📖出典📖 Amazon「BOOK」データベース)

そして本書は、前述のとおり、ぜひ敢えて「訳本」と「洋書」の両方を対比しながら読んでほしいです。訳本には、日本にはいくつかの名訳を言われる著作がありますが、今回私は「アルジャーノンに花束を(小尾芙佐 訳、早川書房)」を選択しました。


※以下、ネタバレ要注意です!!

(以下、特に注釈ない場合は、英語は洋書(Flowers For Algernon)、日本語は「アルジャーノンに花束を(小尾芙佐 訳、早川書房)」より引用してます)

衝撃的な書き出し

progris riport 1 martch 3

Dr Strauss says I shoud rite down what I think and remembir and every thing that happins to me from now on. I dont no why but he says its importint so they will see if they can use me. I hope they use me becaus Miss Kinnian says mabye they can make me smart.

これを読んで「えっ!?」となった貴方の感覚は正しいと思います。というのも、大量のミススペリングや文法のミスが重なり、文章が壊れかかっているから…もちろん、著者は「わざと」こういう書き出しをしています。

この部分の訳が秀逸です。

けえかほおこく1-3がつ3日

ストラウスはかせはぼくが考えたことや思い出したことやこれからぼくのまわりでおこたことわぜんぶかいておきなさいといった。なぜだかわからないけれどもそれわ大せつなことでそれでぼくが使えるかどうかわかるのだそうです。ぼくを使てくれればいいとおもうなぜかというとキニアン先生があのひとたちわぼくのあたまをよくしてくれるかもしれないといったからです。

32歳になって、幼児の知能しかないチャーリー・ゴードン。彼は、昼間はパンやでこき使われ、夜は精神薄弱者のセンターで頭の痛くなる勉強の日々を送っていました。

そんなある日、大学の偉い先生(=ストラウス教授)が、頭を良くしてくれるという夢のような話が舞い込みました。

冒頭は、手術を受ける前の、まだ幼児の頃のチャーリーの書いた文章で、本書はチャーリーによる「けえかほうこく」の形で描かれていきます。

手術後、間もないチャーリーの手記

I told her it wasnt for tea in china. It was to make me smart. And she said mabey

they got no rite to make me smart because if god wantid me to be smart he would have made me born that way.

お茶のためにしたのでわないとぼくわいった。頭をよくするためだ。そしたらあの人たちわぼくの頭をよくする権利なんかなくてなぜかというともし神さまがぼくの頭のよいことをおのぞみなら生まれたときからそうしているはずですといった。

文章の一部を切り取ってしまったので分かりづらいですが、シーンとしては、手術後に入院中のチャーリーが、看護婦さんから「頭を手術するなんてとても勇気があるわね」と言われたのに対し、チャーリーが「自分の頭をよくしたいから手術を受けたんだ!」といった所、看護婦さんは「あの人たち(=チャーリーを手術した教授たち)には、チャーリーの頭をよくする権利はない…」と言った、という流れです。

洋書中の、

because if god wantid me to be smart he would have made me born that way.

手術後、知能がまだ完全に向上していないチャーリーの何気ないように見える文章ですが、ところどころ心理をついており、心にぐさっとささってきます。

劇的に知能が向上するチャーリー

手術後、チャーリーは加速的に知能が向上し、読んだ本はほとんど全て頭に入り、様々な科目を勉強していき、常人離れした知識を身につけていきます。

April 15-I’m reading a lot these days and almost everything is staying in my mind. Besides history and geography and arithmetic. Miss Kinnian says I should start learning foreign languages.

四月十五日―近頃ずいぶん本を読むし、読んだことはほとんど頭に入っている。歴史や地理や数学の他に外国語もはじめた方がいいとキニアン先生が言う。

そして、彼は、「頭が良くなりすぎた」ことを理由に、今まで勤めていたパン屋から解雇されてしまいます。ストラウス教授からは、チャーリーが、知能指数が良くなりすぎて、「経過報告」も難解になってきたがために、「分かりやすく書きなさい」とたしなめるシーンも。

Strauss again brought up my need to speak and write simply and directly so that people will understand me. He reminds me that language is sometimes a barrier instead of a pathway. Ironic to find myself on the other side of the intellectual fence.

ストラウスはまたまた、だれにでも理解できるようにもっと易しく、わかりやすく話したり書く必要性を指摘した。彼は言語が通路ではなくときには障壁であることを気づかせてくれる。知能というフェンスのあちら側にいる自分を発見するとは皮肉である。

※経過報告12、六月五日の手記より

「フェンスのあちら側」とは、知能が低かった頃のチャーリーですが、知能が高くなって、昔の自分の状況がわかるようになった悲しさが、文章からにじみ出ていますね。

ストラウス教授をも超越したチャーリー

I had to find out just how much he knew.

I found out.

Physics: nothing beyond the quantum theory of fields. Geology: nothing about geomorphology or stratigraphy or even petrology. Nothing about the micro- or macro-economic theory. Little in mathematics beyond the elementary level of calculus of variations, and nothing at all about Banach algebra or Riemannian manifolds. It was the first inkling of the revelations that were in stone for me this weekend.

彼(=ストラウス教授)がどこまで知っているか確かめねばならない。

私は知った。

物理学―場の量子論の域を出ない。地質学―地形学も層位学も岩石額さえも知らない。ミクロ経済理論もマクロ経済理論も知らない。変分法の初歩以上の数学についてはほとんどだめ、バナッハの第数もリーマン多様体についてもまったく無知。これがこの週末に私を待ちかまえていた意外な新事実の先触れであった。

そしてこの頃、チャーリーより先に手術を受けていたネズミのアルジャーノンはとっくに天才ネズミとなり、知能を高める手術は、アルジャーノン、チャーリーの事例とともに、ストラウス博士による画期的な研究として、国際的に高く評価されるようになります。

…ところが、ネズミのアルジャーノンに異変(知能の退行)が現れ、チャーリーも自分はゆくゆくは同じ運命をたどるであろうことを、悟ってしまいます。そして、彼は自ら、知能を向上する手術に関する研究を『アルジャーノン・ゴードン効果』という論文にまとめ、やがて自分の知能が退行することを証明してしまいました。

Dear Professor Nemur:

Under separate cover I am sending you a copy of my report entitled:

‘The Algernon-Gordon Effect: A study of Structure and Function of Increased Intelligence,’ which may be published if you see fit.

ARTIFICALLY-INDUCED INTELLIGENCE DETERIORATES AT A RATE OF TIME DIRECTLY PROPORTIONAL TO THE QUANTITY OF THE INCREASE.

二―マ教授殿(※Tak石河注 知能を向上させる手術について、ストラウス教授らとともに研究していた先生)

別便にて私の論文『アルジャーノン・ゴードン効果―増大された知能の構造と機能の研究』をお送り申し上げます。公表に耐えうるとお考えでしたら公表していただいて結構です。

人為的に誘発された知能は、その増大量に比例する速度で低下する。

そして、彼の証明の通り、チャーリーの知能は加速度的に低下していきました。

アルジャーノンの死

September 17

Algernon died two days ago. I found him at four thirty in the morning when I came back to the lab after wandering around down at the waterfront on his side, stretched out in the corner of his cage. As if he were running in his sleep.

九月十七日

一昨日アルジャーノンが死んだ。明け方四時半、川べりを歩き回って実験室に戻ってみると死んでいた―体を横にして、檻の隅に伸びていた。まるで睡りながら走っているようだった。

そして、アルジャーノンを解剖すると、チャーリーの予測の通り、脳の重量が減少し、それが現在自分(=チャーリー)にも起こりつつあることを考え、恐怖します。

知能が退行していくことに恐怖を覚えるチャーリー

Nov16

Please…please…dont let me forget how to reed and rite…

十一がつ16日

どうか…どうか…読み方やかき方を忘れないよおにしてください…

この頃になると、知能の退行が進み、「けいかほうこく」の文章も、知能が低かった頃に戻っていきます。

上の「十一がつ16日」の短い一文。なんと、悲しい心情を表した一文でしょう。

最後の「けいかほうこく」

Anyway I bet Im the first dumb person in the world who found out some thing inportent for sience. I did somthing but I dont remembir what. So I gess its like I did it for all the dumb pepul like me in warren and all over the world.

Goodby Miss Kinnian and dr Strauss and everybody…

PS please tel prof Nemur not to be such a grouch when pepul laff at him and he would have more frends.

Its easy to have frends if you let pepul laff at you. Im going to have lots of frends where I go.

PS please if you get a chanse put some flowers on Algernons grave in the bak yard.

とにかくぼくわか学のためにじゅー用なことをはっ見したさいしょのばか人間です。ぼくわなにかをやったけどなんだかおもいだせない。たぶん、われんや世界じゅーのぼくみたいなうすのろ人間のためになにかをしてやたのではないかなと思う。

さよならキニアン先生ストラウスはかせみなさん…。

ついしん。どおかニーマーきょーじゅにつたいてくださいひとがわらたり友達がなくてもきげんをわりくしないでください。ひとにわらわせておけば友だちをつくるのわかんたんです。ぼくわこれから行くところで友だちをいっぱいつくるつもりです。

ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください。

最後の二文(名文と言われる)は、思わず泣いてしまいました。

ここまで書きましたが、「アルジャーノンに花束を」の魅力を、1%もかけていないように思います。

少しでも心の琴線に触れた箇所があれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね^^;


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